以前、尿路結石が原因で体調を崩した際に、体外衝撃波破砕術(ESWL)の治療を受けました。
その際の備忘録です。
尿路結石の非侵襲的な治療法の一つである「体外衝撃波破砕術(ESWL)」とはなんなのか?
この記事では、体外衝撃波破砕術(ESWL)の効果と注意点について詳しく解説します。
尿路結石に悩む方々にとって、体外衝撃波破砕術(ESWL)がどのような選択肢であるか理解していただければ幸いです。
まず、尿路結石とは?
まず尿路結石とは何か?ここで簡単に説明します。
尿路結石は、尿の通り道である腎臓、尿管、膀胱、尿道に形成される結石のことを指します。結石の存在部位により腎結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石と呼ばれます。
尿路結石の症状は結石の場所によって異なります。腎臓に結石がある場合は、痛みはほとんど感じませんが、自覚症状がなくても定期的な検査が必要です。なぜなら、症状がないからといって放置していると、腎機能が低下する恐れもあるからです。一方、尿管に結石がある場合は、石が詰まって尿が流れなくなるため、背中や脇腹に痛みが出ます。
尿路結石の原因はさまざまで、食生活や年齢、男女差、職業、ストレス、遺伝、気候、尿路の奇形などが関与します。特に、食生活との関わりが深く、食生活の欧米化によって動物性脂肪や動物性たんぱく、塩分、糖分などの摂取量が増えたことが、尿路結石増加の主な原因だと指摘されています。

体外衝撃波破砕術(ESWL)とは?
体外衝撃波破砕術(ESWL)は、尿路結石の非侵襲的な治療法の一つです。この手法では、体外から発生させた高エネルギーの衝撃波を結石に照射し、結石を粉砕することを目的としています。
ESWLのメカニズムは、超音波やレーザーを用いて結石に集中的なエネルギーを送り込み、結石を細かい破片に分解することです。この方法は、手術を必要とせず、患者さんの回復期間が短いため、広く利用されています。
しかし、ESWLにはいくつかの注意点があります。適切な結石のタイプやサイズ、患者さんの健康状態などを考慮して、治療の適否を判断する必要があります。
体外衝撃波破砕術(ESWL)のメカニズムと効果
体外衝撃波破砕術(ESWL)は、尿路結石の非侵襲的な治療法の一つです。以下に、ESWLのメカニズムと効果について詳しく説明します。
- メカニズム:
- ESWLは、体外から発生させた高エネルギーの衝撃波を結石に照射します。
- 衝撃波は結石に集中的に当てられ、結石を細かく砕きます。
- 砕かれた結石は尿と共に排出されます。
- 効果:
- ESWLは手術を必要とせず、患者さんの回復期間が短いため、広く利用されています。
- 特に以下の点で効果があります:
- 体に傷がつかない。
- 治療時間は短く1時間程度で終わります。
- 痛みが少なく、無麻酔で行えます(治療前に坐薬を使用していただきます)。
- 副作用・後遺症がほとんどありません。
- 治療後、すぐに日常生活・職場への復帰が可能です。
- 注意点:
- 結石の位置やサイズ、患者さんの健康状態によって、ESWLの適否を判断する必要があります。
ESWLは、尿路結石に悩む方々にとって、有効な治療法の一つです。定期的な医師の診察を受けながら、適切な治療方法を選択しましょう。
体外衝撃波破砕術(ESWL)の適応
ESWLは、尿路結石、胆石、膵石に適応される治療法です。
- 尿路結石:
- 尿路結石の場合、以下の条件でESWLが適応になります:
- 結石の大きさが約1cm程度で、自然排石が困難な場合。
- 腎臓機能に障害が出ている。
- 強い痛みや水腎症、腎盂腎炎を引き起こしている。
- ESWLは、結石を粉々に砕く効果的な治療法です。
- 尿路結石の場合、以下の条件でESWLが適応になります:
- 胆石症:
- ESWLは一部の胆石症にも適応されます。
- 特にコレステロール結石に効果があります。
- 胆石の大きさが2cm以下で、胆のうの機能が正常である場合に適用されます。
- 膵石:
- 膵石は膵管内に作られた結石で、膵液の流出障害が起こります。
- ESWLは膵石にも適応されますが、施行時の痛みが強いことがあります。
- ESWLの禁忌:
- ESWLは侵襲が少ないものの、以下のケースでは適応外となります:
- 妊婦、閉経前の女性の下部尿管結石。
- 幼児や小児。
- 抗凝固剤服用の患者、出血傾向がある患者。
- ペースメーカー装着患者。
- 高度肥満患者。
- インプラントを装着している患者。
- 腎機能が廃絶している患者。
- 尿路感染症を合併している場合。
- ESWLは侵襲が少ないものの、以下のケースでは適応外となります:
ESWLは、適切な適応と注意を守りながら、尿路結石や胆石、膵石の治療に利用される有効な方法です。
体外衝撃波破砕術(ESWL)手術前後のケア
ESWLの前処置と検査
- 検査:
- 採血、採尿、心電図、レントゲン写真などの検査を行います。
- 患者さんの体調や出血傾向の有無をチェックします。
- 痛み管理:
- ESWLの治療前に、痛み止めの坐薬を患者さんに提供します。
- 治療着の着用:
- ESWLの治療室で、患者さんは治療着に着替えます。
- 結石の位置確認:
- 衝撃波をあてる前に、**放射線(または超音波)**によって結石の位置を確認し、衝撃波の照準を結石に合わせます。
- 結石の位置が移動していたり、結石自体が小さくなっている場合は、ESWL装置で結石位置を確認できないこともあります。
ESWLの治療を受ける患者さんの前処置と検査は、正確な結石の位置を特定し、効果的な治療を行うために重要です。
手術後の経過観察と注意事項
- 観察・管理:
- 発熱や出血などの異常を観察します。
- 疼痛の程度を評価し、適切な鎮痛剤を使用します。
- 尿量を記録し、排尿に問題がないか確認します。
- 合併症予防:
- 感染症に注意し、発熱や排尿時の痛み、異臭などをチェックします。
- 廃用症候群を予防するため、早期から運動療法を開始します。
- せん妄のリスクがある場合、適切な対応を行います。
- 深部静脈血栓症の予防策を実施します。
- 食事と水分摂取:
- 術後は食事や水分の摂取を徐々に開始します。
- 患者さんの状態に応じて、経口摂取のタイミングを調整します。
- 退院前の指導:
- 術後の経過観察方法や注意事項を患者さんに説明します。
- 痛みや異常があれば、すぐに医師に報告するよう指示します。
ESWLの治療後は、患者さんの安全と快適な回復をサポートするため、適切なケアと観察が必要です。
まとめ
体外衝撃波破砕術(ESWL)は、非侵襲的であり、手術を必要とせずに結石を粉砕できます。
また、痛みが少なく、回復期間が短いため、多くの患者さんに選ばれています。
ESWLは、尿路結石に悩む方々にとって、有望な治療法であり、適切なケアと指導を受けながら、健康な日常生活を取り戻すことができるでしょう。
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